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曹洞宗では「お仏壇の向きは南」を最優先しなくてよい理由とは?

お仏壇を置く向きに決まりはあるのでしょうか?
曹洞宗の場合を例にお仏壇の向きについて
どのように捉えるとよいのか考えていきます。

家を新築するのだけど仏間の向きを
どうしたらよいのか分からない!
転居することになり、仏間がない家やマンションに
住むことになったけど、お仏壇はどこに置く?
現在のお仏壇の向きが適当でないと言われてしまい
毎日不安でおまいりに集中できない!

こんな悩みに惑わされることなく
お仏壇に向かい、手を合わせて、
心おきなくおまいりしていただきたい!
そんな思いで調査しました。

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曹洞宗では「お仏壇の向きは南」を最優先しなくてよい


曹洞宗の本山と言えば、永平寺と総持寺です。
ご本山で聞いてみようと思い、
永平寺に出向いて聞いてみましたが、修行僧さんの
「永平寺は、禅の修行道場です。」
という一言で、無謀な試みだったことが判明しました。
それでも、冷たく突き放さないのがさすが宗教家です。
「曹洞宗宗務庁が運営するホームページがあります。
 曹洞禅ネットというものです。」
と教えてくださいました。有難いことです。

曹洞宗の公式サイトには明記されていない

公式サイト「曹洞禅ネット」には、
「よくあるご質問(FAQ)」のページが
設けられています。
「お仏壇のまつり方」のページには
お仏壇の中の本尊やその他の仏具などの
配置が詳細に書かれています。
ただし、お仏壇の設置の仕方については、
明記されていません。当然お仏壇の適切な向き
についても言及されていません。
しかし、
言及されていないから、向きは気にしなくてよい
とするのはちょっと強引な論理ですね。

お仏壇の準備に際しては、菩提寺に相談するよう
「よくある質問(FAQ)」のページ内で指示がされています。
曹洞宗の寺院は、全国に1万数千あり、
地方の特色なども考慮すると
お仏壇の向きも含めて、お仏壇の在り方を
統一することは難しいのだろうと思われます。

曹洞宗ガイドブックでもお仏壇の向き南は必須でない

私の地元の曹洞宗の住職さんにお尋ねし、
曹洞宗宗務庁が発行している「曹洞宗檀信徒必携」の
ブックレットの一部を見せていただきました。
これは、檀信徒のための宗門ガイドブックです。
その中の「先祖供養」の項に
お仏壇の置き方について書かれていました。

お仏壇を置く場所について
昔からの言い伝えは気にすることはないこと、
場所に決まりはないこと、
条件が許せば南を向くように置くとよいこと

などが分かりました。
さらに南向きを勧める理由として
直射日光を避けられることや風通しのよさ
挙げられていました。

曹洞宗のお仏壇を南に向けることは
かなり軽い程度で勧められている

捉えることができます。

本山や菩提寺にお参りすることが難しい場合に
「家の中のお寺」としてお仏壇が
家に置かれるようになったという
お仏壇の役割から考えても、設置するとき
「向き」を一番優先しなくてもよいと言えます。

経験に基づいた「お仏壇の向きにとらわれなくてよい」という主張


曹洞宗に限らず「お仏壇の向きにとらわれなくてよい」
と言い切っている意見を見つけました。
Yahoo知恵袋の仏間の向きに関する問いへの
ベストアンサーです。
一部を引用しますので読んでください。

(前略)
貴方が死んで仏壇の住人になったことを想像してください。
自分の子供が置いた仏壇の方向が気に食わないからといって
バチを当てたり嫌がらせしたりしますか?
絶対にしないと思います。
子供や孫の幸せを願って何でもかなえてあげたいと思うはずです。
それならば仏壇を何処にどう置こうが先祖は貴方を守ってくれるはずです。
仏壇など置かなくてもです。
(中略)
建築士で40年にわたって住宅の設計をやってきました。
設計した沢山の住宅の中には家相や風水で悪いとされる。
鬼門に玄関やトイレの有るような家も少なからず有ります。
それらしき事が起こったことは一件も有りませんでした。
(後略)

誰かが言っていたというのではなく
これまでの経験を元に回答されてるので
とても説得力があります。
さらにこの書き込みの最後では、
よくないとされることを全部取り入れた家に
住んで実験された別の方の著書が紹介されています。
その本の中では、よくないことは何も起こらなかったと
報告されているそうです。

曹洞宗のお仏壇の向きについても
この考えを適用すると気持ちが楽に
なります。
お仏壇を南向きに置けたら「ラッキー」ぐらいの
気持ちで、また、南向きでなくても
日々おまいりできることに感謝を
忘れず、
ご本尊に手を合わせられることに喜びを
感じられたら幸せですね。
これは、曹洞宗の目指す生き方とされる
「日々の生活を意識して行ない、
互いに生きる喜びを見いだしていくこと」
と符合しています。

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曹洞宗のお仏壇をネット上で解説されているとおりに置ける?


インターネットで情報検索すると
曹洞宗では、お仏壇の向きは
「南向きが適切である」という記載が
たくさん
見つかります。
それを全部受け入れて、そのとおりに
お仏壇を置くことはできるでしょうか。

南向きでないといけない?ネット上の解説文のニュアンス

たくさんのサイトで宗派別にお仏壇の向きを
解説しています。
その表現から受け取られるニュアンスは
さまざまです。
「条件さえ合えば、南向きを推奨します」
「宗派によって決まっていて、曹洞宗の場合南向きです」
「北向きは避けて設置します」
など、ばらばらです。
おすすめ程度なのか、ルールとして守らなくては
ならないものなのか、南以外の方位もOKなのか、
情報に翻弄されてしまいます。

曹洞宗の仏壇の向きに関して共通しているのは、
お仏壇の向きについて解説するサイトでは
「お仏壇の最適な向き=南」と書かれている
ということです。

いろんなサイトを読めば読むほど
南向きに置くのはもう絶対なんだと思い込み、
もし、曹洞宗で南向きにお仏壇を
置かなかったら、間違ったことを
しているように思えてきます。

お仏壇の前に座って手を合わせると
自分の行いをふり返ったり
いろいろな方に感謝の気持ちをもったりして
心が安らかになるというのとは
正反対の状況
です。これでは、本末転倒です。

風水の情報も加わって、さらに条件は厳しく


「北向きは不浄、魔が入りやすいので避ける」
「鬼門と裏鬼門を結ぶライン上にはお仏壇を設置しない」
「廊下やトイレの近くなど
 気の流れが激しいところにはお仏壇を置かない」
風水の立場を否定するのではありませんが
前に紹介した曹洞宗のお仏壇は「南向きが最適」の条件と
風水を重視したこのような条件に
合う場所があるお宅は、日本の住宅の中に
どれくらいあるのでしょうか。
曹洞宗の檀信徒さんは数百万人いらっしゃる
ということなのですが、これらの条件を
整えることができるのでしょうか。

さらに、条件を整えて設置しないと、
よくないことが起こるというような
文言を見ると、不安に
なってしまいます。
心を落ち着けて手を合わせているところでは
なくなってきました。
私がこの立場だったら
できていないことばかりが気になって
心は穏やかではいられません。
あなたはどうですか?

なお、仏壇を二階に置く場合については
こちらの記事を参考にして下さい。

仏壇を二階に置くのって問題あり?配置前にこれだけは要確認!私は小さい時、祖父母の家に行った際には 入ってすぐ、一階の和室にある仏壇に 手をあわせてご挨拶することが 当たり前でした。 ...

「曹洞宗のお仏壇は南向き」にこだわる理由は?


前に述べたように曹洞宗ではお仏壇を
どちら向きに置いても構わないのに、なぜ
このようにさまざまなことが言われるように
なったのでしょうか。そして、なぜ、
それが連綿と伝えられてきているのでしょうか。
その理由を探りました。

お釈迦さままでさかのぼるという説

仏教の教えを説いたお釈迦さまに由来する
というのが理由の1つだと考えられています。
一般的に曹洞宗のご本尊は、仏教の開祖である
お釈迦さまです。お釈迦さまは北に座して、
南を向いて説法を行ったと言われています。

それで、曹洞宗の寺院は、北に背を向けて
南向きに建てられているそうです。
大本山永平寺の仏殿も南を向いて建っています。
前にも述べたようにお仏壇は小さなお寺と
とらえられているので、お仏壇も南向きが望ましい
ということになったという説です。

本格的に家庭にお仏壇が置かれるようになったのが
江戸時代ですから、曹洞宗の教えが
世に広まってから、かなりの時間が経っています。
お仏壇の向きは、曹洞宗の教えの
根幹に関わることではない
と考えられます。

中国の慣習を取り入れて真似たという説

中国の慣習からきているという説もあります。
昔、中国では皇帝などの位の高い方は
南を向いて座る習慣がありました。
下位の者は北を向いて座りました。
これを真似て、ご本尊も南向きに配置してきた
という説です。ご本尊の向きに合わせて
お仏壇も南向きに設置するというわけです。

そういえば、平城京や平安京は
中国の当時の都づくりを真似て
碁盤の目状に東西南北に走る道路によって
整然と区画されて作られた都市であることを
歴史の授業で学んだことを思い出しました。
天皇の住居や執務を行う場所は
北部中央に置かれていたということです。
つまり、南向きです。

ご本尊を大切にしようという思いを形にしたい
という願い
がこのような様式になり
それが広く受け入れられたということでしょう。

南向きにするというお仏壇の置き方にはメリットがある


お仏壇を南に向けるということは、
お仏壇の背を北に向けるということです。
家の中に直射日光が当たらない
涼しい場所に置くことになります。

お仏壇もその中にお祀りする釈迦如来像、
他の仏具なども木を素材としていることが
多いので、直射日光が苦手です。
急激に乾燥すると木が反ってしまうからです。
木を素材にした道具への配慮という点が
明確になると、木は湿気も苦手ですから
風通しのことも考えた配置にしたほうが
よいということも分かってきます。

お仏壇が傷まないようにという理由で
家の南側に置かない→北向きはNG
ということが伝えらえれてきたと考えると
納得できます。

風水も同じように捉えることができます。
よくないことが起こるからという
根拠がはっきりしないものではなく、
明確な理由があるはずなのですが
私たちは、様式ばかりを気にしてしまい
根拠にこだわらなくなってきています。

情報が氾濫し、取捨選択が難しく、
判断に困ることが多い現代においては
先人の知恵をその理由と一緒に
次世代に伝えていくことが、私たちに
課せられた問題だと思います。
伝えていくべきなのは
その根拠も含めた様式なのです。

お仏壇も祀っているご本尊も
ずっと使っていく仏具も傷めないように
直射日光と湿気に気をつけて
お仏壇の場所や向きを決めてください。

それぞれのお宅に合った場所や向きが
必ず見つかるはずです。

「曹洞宗の仏壇の向き」まとめ

曹洞宗を例にお仏壇の向きについて
考えてきました。
これまで先人が伝えてきたことを大切にし
そのとおりに行動されてきた方には
抵抗があったかもしれませんが
一つの提案と捉えていただければ
有難いです。

まとめ
  • 曹洞宗では、お仏壇は南に向けるとよいと決めてはいない
  • 南向きは決まりではなく条件が許せばというもの
  • 南向き以外の方向にお仏壇を置いても悪いことは起こらない
  • 南に向けるとお仏壇や仏具を長持ちさせることができる

たくさんの情報を集め、
たくさんの意見に耳を傾けることは、
よりよい問題解決のためには
大切なことです。
でも、最終的に判断をするのは
あなた自身であり、私自身です。
形や様式にこだわることも大切でしょうが
こだわりすぎると大事なことを
見失ってしまう恐れがあります。
今回「お仏壇の向き」について調べて
私が感じたことです。

最後になりましたが
曹洞宗のご本山永平寺さんでも
地元の末寺さんでも
私のお願いや問いかけに真剣に
耳を傾けていただきました。
ありがとうございました。

なお、仏壇を購入される際は、
近年人気の高いモダンな仏壇について
こちらにまとめましたので、参考にして下さい。

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