生活スタイルや、家族の形が多様になってきた昨今において、樹木葬は知名度や人気が上がってきている埋葬の方法です。
『自然に還る』という考えが広く認められてきているなか、樹木葬は魅力的な埋葬方法の1つです。
しかし、歴史が浅く、情報も乏しいのも事実。
良く知らべなかったからこそ、巷では様々なトラブルが発生しています。
そこで今回は、樹木葬を巡る主な5つのトラブルの事例と、それを未然に防ぐために行っておくべき対策についてご紹介します。
『樹木葬に興味があるけれど、トラブルも聞くし何となく不安』
『トラブルにあわない為にはどうしたらいい?』とお悩みのあなたは、参考にして下さい。
樹木葬にまつわるトラブルはお寺と家族に関すること
樹木葬を巡るトラブルは、大きく分けて2つに分けられます。
- お寺とのトラブル
- 家族とのトラブル
それぞれケースをみていきましょう。
お寺とのトラブル
樹木葬の場合、ほとんどが永代供養が目的です。
そのため、永代供養や行き届いた管理を謳う寺が多いです。
しかし、永代供養という漠然としたイメージから、よくお寺や契約のことを調べずに、
- 生前予約をしたら、生前管理費がかかってしまうのを知らなかった
- 檀家に入らねばならないルールがあったのを知らなかった
- 改葬したかったが、2度とお骨は掘り出せないと言われてしまった
といったトラブルが発生しています。
家族とのトラブル
次に、樹木葬を希望する当人と、残される遺族との考え方の相違から、
- アクセスが悪く、墓参りが遠のくと言われてしまった
- 墓参りをしている感覚が薄くなるのではないかと言われてしまった
といったトラブルが発生しています。
それぞれのケースについて、そのトラブルが起こった原因と対策を解説していきます。
生前予約をしたら生前管理費を請求された
このトラブルが起こる主な原因は以下のことが考えられます。
原因:
- 支払い料金の内訳について誤解していた
このトラブルに対する対策は以下の通りです。
対策:
- 管理費不要のところを選ぶ
- 不安なことは何でも聞いておく
原因:支払い料金について誤解していた
樹木葬の支払い料金の内訳は、大きくわけて
- 墓地使用料
・・・法律で認められている場所を使うための使用料 - 年間管理費
・・・お墓を綺麗に保つために、定期的にかかる管理費。5千円~1万円程度 - 納骨費
・・・墓石と同じく、樹木葬にもかかってくる場合がある。1万5千円~3万円程度
の3つがあります。
この中の「年間管理費」について、お寺や業者によっては、生前の管理費もかかってくる場合があります。
主に樹木葬が公園型を選択した場合にかかってくる場合があるようですが、それを勘違いして契約してしまう人がいるようです。
対策:管理費不要のところを選び、不明点をなくす
- 管理費不要のところを選ぶ
契約するお寺や業者によっては、一切管理費が不要であるところも多いです。
もし、生前管理費について心配であれば、そういったところを優先して探しましょう。
- 不安なことは何でも聞いておく
支払い料金について、何がふくまれているのか、詳しく説明してくれるところが一般的です。
しかし、それでも少しでも疑問に思ったことは何でも聞いておきましょう。
樹木葬の費用について詳しくは、以下の記事を参考にして下さい。
檀家になることを要求された
このトラブルが起こってしまう主な原因は、以下のことが考えられます。
原因:
- お寺独自のルールをよく把握していなかった
このトラブルに対する対策は以下の通りです。
対策:
- 思い込みで契約しない
原因:お寺のルールを把握していない
実は、最近は、檀家制度は廃止の方向になりつつあるようです。
しかしながら、そんな流れの中でも「まずは檀家になってもらわないと、話が進まない」といって、檀家制度が前提で契約が進むこともあるようです。
樹木葬やってる寺の奥さんも「お墓の話ですか?残りが少なくてなってますので、先ずは檀家になって頂かないと」とまったくもってビジネスライク。不動産屋か!
— punipico (@punipico) February 21, 2012
それを知らずに契約してしまうと、後々トラブルに発展してしまいます。
対策:思い込みで契約しない
ほとんどの場合、宗教や宗派を問われることはありません。
しかし、上記の方のコメントのように、ビジネスライクに営んでいるお寺もまれに存在します。
『樹木葬だから檀家にならなくていい』と思い込みで契約を進めることはせず、
『檀家やお布施など、特別な制度はないですか?』
と、こちらから積極的に確認しておく必要があります。
遺骨を取り出せずに改葬できなかった
このトラブルが起こってしまう主な原因は以下の通りです。
原因:
- 埋葬方法を合祀タイプにしてしまった
- 埋葬について長期の計画を立てていなかった
このトラブルに対する対策は次のことが考えられます。
対策:
- 埋葬方法は合祀タイプ以外を選ぶ
- 遺族がいる場合は、長期を見据えて決める
原因:長期計画をたてず、合肥タイプにした
- 埋葬方法を合肥タイプにしてしまった
樹木葬は魅力的な埋葬方法とはいえ、様々なデメリットがあります。
そのうちの一つが、合祀タイプにしてしまった場合、2度とお骨を取り出すことができないというものです。
埋葬方法を合祀タイプにすれば、料金が、ほかの個人タイプや集合タイプより、安く済ませることができます。
かつ、管理費も不要な場合が多いため、つい手ごろだということから選ぶ人もいます。
しかし、上記のようなデメリットを知らずに、後から遺族が後悔するケースが多いようです。
- 埋葬について長期の計画を立てていなかった
故人の遺族がいなかったり、一世代で終わる墓なら、合祀タイプにしても問題はなさそうです。
しかし、そうではない場合、数年たって、『先祖代々の墓のほうに改葬してあげたい』と遺族が思ったとしても、それはほぼ不可能です。
対策:長期を見据え、合肥タイプ以外にする
- 埋葬方法を合肥タイプ以外にする
埋葬方法において、もし、お骨をそのままの状態に保ちたいのであれば、集合墓か、個人墓をオススメします。
これらは、カロートと呼ばれる個別入れ物に入れるため、他の人と混ざったり粉骨される心配がありません。
- 遺族がいる場合は、長期を見据えて決める
樹木葬を希望し、かつ家族や親戚などがいる場合は、その人たちの未来も俯瞰して、総合的に判断すると良いでしょう。
その遺族も同じく樹木葬にする場合、集合墓にすると、他の家族の近くで眠ることができます。
一方で、『今は予算が厳しいが、最後は先祖代々の墓で一緒に休ませてあげたい』という気持ちがある場合も、個人墓や集合墓にしておくことをオススメします。
交通アクセスが悪いため反対された
家族と話すとき、よくでる懸念点の1つが、アクセス問題です。
このように反対されてしまう理由は以下のことが考えられます。
原因:
- 山や地方など、アクセスを考えずに決めてしまった
このトラブルを防ぐ対策は、以下の通りです。
対策:
- 交通アクセスについて、よく確認しておく
- 都心に多い公園型を選ぶ
原因:アクセスを考慮しなかった
お骨を粉骨して、埋める合祀タイプには山の中や、ある程度土地のある地方によく作られます。
しかし、都心部に住んでいる場合は、やはりアクセスがネックになることが多いようです。
もし、あなたが、あなたのお墓参りをしてくれる遺族のことを深く考えずに決めてしまうと、あとから家族の反対に合ってしまう場合があります。
対策:アクセスをよく確認するか、公園型にする
- 交通アクセスについて、よく確認しておく
もし、里山型を希望するとしたら、アクセスのしやすさをよく確認しておきましょう。
具体的には、
- バスの本数
- 最寄りのバス停からの距離
- 道の舗装状況(山中の場合)
- お年寄りや子どもにとっても負担でないか
- 天候や季節による変化
などが確認事項の一例です。
特に天候や季節によっては、地面がぬかるんだり、冬は積雪の可能性もあります。
できれば、天候の悪いときや、冬に見学にいくと、ギャップを防ぐことができるでしょう。
- 都心に多い公園型を選ぶ
公園型の霊園等だと、東京や大阪などにも多く、アクセスがしやすいです。
小さな子どもやお年寄りの方がいらっしゃる場合は、公園型の方が負担が少なくて済みます。
墓参りの実感が湧かないと言われた
このような反対意見がてでしまう理由は以下のことが考えられます。
原因:
- 家族が樹木葬という埋葬方法に不慣れである
これに対し、家族に納得させるためにできる対策は以下の通りです。
対策:
- プレートのある個別墓や集合墓を選ぶ
- 線香を添えられるところを選ぶ
原因:家族が樹木葬について不慣れである
お寺や業者、埋葬タイプによっては、地面に埋葬し、木を墓標にします。
そのため、普段、墓石に手を合わせる方法が一般とされる私達には、なんだか慣れない墓参りの方法となります。
故に、墓参りをしている感覚がないという意見もあることも事実です。
母も樹木葬だけど、あまり墓参りしている気にはなれないなぁ#gogomonz_nack5
— じゅーん@昇太師匠に先を越されたモテない村民 (@1011jny) May 30, 2019
対策:プレートを選択し、線香が添えられる場所を選ぶ
- プレートのある個別墓や集合墓を選ぶ
個別墓や集合墓は、お骨を埋めたところにプレートを目印にしてくれるところが多いです。
プレートがあれば、故人が眠っている場所が明確だし、お参りをしやすくなります。
- 線香を添えられるところを選ぶ
場所や埋葬タイプによっては、お線香が禁止されている場所もあるようです。
埋葬場所が山中だったりすると、火事の危険性から禁止しているようですが、せっかくお墓参りにきたら、線香をあげて故人に想いを馳せたいですよね。
『墓参りしている気分になれない』と後から家族から言われないためにも、その点を検討事項の1つにしても良いでしょう。
樹木葬のトラブルと対策のまとめ
樹木葬は、最近の社会のニーズにあっているものの、まだまだ知名度も低く、トラブルが多く起こっています。
よくあるトラブルとその対策についてまとめました。
- 生前管理費かかってしまうことを知らなかった
- 管理費不要のところを選ぶ
- 不安なことは何でも聞いておく
- 檀家に入らねばならないルールを知らなかった
- 思い込みで契約せず、きちんと確認しておく
- 2度とお骨は掘り出せないと言われてしまった
- 埋葬タイプを合祀タイプ以外にする
- 遺族がいる場合は、長期を見据えて決める
- アクセスが悪く、足が遠のくと言われてしまった
- 交通アクセスについて、よく確認しておく
- 都心に多い公園型を選ぶ
- 墓参りをしている感覚が薄くなるのではないかと言われた
- プレートのある個別墓や集合墓を選ぶ
- 線香を供えられるところを選ぶ
自分のお墓について考えることは、誰にとっても初めての経験になることと思います。
だからこそ、事前に起こりうるトラブルを知って、しっかりと準備をし、満足のいく選択ができるといいですね。
なお、樹木葬で後悔しない方法をまとめた以下の記事も参考にして下さい。